吉松 正実 初段(東京支部所属)
〜2008年2月24日取得〜


 高校時代に読んだ総裁の著書「限界への挑戦」が極真空手との出会いでした。その後昭和54年、大学進学のため三島市の学生寮に転居したのを機に、同書にて紹介されていた大石師範のもとに入門いたしました。また当時上映されていた「地上最強のカラテ」の車上飛越しが大石師範と知ったときからは、誇らしい気持ち一杯で稽古をしたことを思い出します。翌年、大学が東京校舎に移ったことと膝靭帯の怪我のため、やむなく空手から離れることとなり、以後は本や雑誌の記事を見つけては、遠くから活躍を応援しておりました。
 平成15年10月、東京支部板橋道場の開設にあたり、師範より再度空手をやるようご連絡をいただきました。確かその年の全日本大会で、師範をお見かけした際、師範にご挨拶をしたことがきっかけだったのかなと思います。空手から離れ23年間、全く運動らしいこともしておりませんでしたので、再入門する気持ちも固まらないまま、当時小学生だった子供の空手着を借りて板橋にて体験入門いたしました。今でも覚えているのは、基本稽古の「後ろ蹴り」の時に、めまいで途中リタイアしたことです。師範からは一生懸命やった結果であり恥じる事はないとのお言葉を頂きましたが、そのときは惨めな思いばかりが残り忘れられませんでした。再度鍛え直し、次回の稽古で途中リタイアをしないことがそのときからの目標となりました。
 昨年の合宿の際、師範より自分が公認審査会の受審資格があることをお聞きし、昇段を目指すことといたしました。稽古を重ねるたびに考えたのは、私に黒帯を締める覚悟ができているかということでした。全ての面で黒帯は責任が違います。言葉、行動のひとつひとつに重みがあり、品格を備えていなければならないと思ったとき、自分にはその覚悟が欠けているようで、悶々としておりました。そのとき総裁の「千日を以って初心とし、万日を以って極みとする」という言葉を思い出しました。私はまだ数年空手の稽古をしたに過ぎず、依然初心の域であること、さらに私から見れば極みを超えている師範でさえ、ご自身ではその先を求めて精進されていることを考えるにつけ、今悩んでいること自体が小さな事のように感じられてきました。何も考えず挑戦することの意義のみを考えようと思ったときから焦りや不安が無くなってきました。審査会当日はほとんど緊張することなく臨むことができました。しかし、練習と本番では大きく違い、自分のイメージ通りには全くいきませんでした。腹筋、腕立て、スクワット等の補強も日頃の稽古で自信はありましたが、本番では何とかクリアできた程度でした。移動稽古でも師範の指示通りの動きができず、型の審査でも脚の動きがぎこちなくもどかしい体験をしました。昇段は夢にも思っておらず、今回の経験を次回の糧とすること、また次に受審する東京の仲間達にこの経験を伝えなければならないという思いだけでした。師範は常々、道場訓を実社会の中で行動し活かさなければならないとおっしゃっております。黒帯を締める以上、今まで以上に道場訓の実践が求められます。常日頃より具体的な実践を心掛けることはもとより、真の極真空手を体現し伝承していけるよう今後とも精進する所存です。
 最後になりましたが、大石主席師範、並びに諸先輩、東京・栃木支部の皆様に心よりお礼を申し上げます。どうもありがとうございました。

押 忍