吉田 崇人 初段(静岡南道場)
〜2009年8月2日取得〜

小学三年生の頃「空手をやってみないか?」と親から言われました。
しかし、自分は武道に恐怖感があったので一旦断りました。
次の日、学校の帰りに友達の家に遊びに行きました。
その中に女の子がいて、いろいろあって怒らせてしまい、なぜか泣かされてしまいました。
自分に原因があったのですが、それでも泣かされたことがとても悔しく思いました。
自分は昔からよく泣かされていて、そんな自分が嫌だったので、強くなりたいと思い、極真空手の道場に入門することにしました。

道場に行ってみると独特な匂いがして、ここが道場なんだ、と思いました。
そこには、自分と同じくらいの小学生が何人もいて、その中に、学校の友達もいました。
とても緊張していましたが、友達がいたので少しホッとしました。
始めての稽古は思っていたより怖くなく、楽しかったです。
最初の頃は、型を覚えることが好きでした。
白帯の人がたくさんいたので、その中で一番上手くなろうと思うようになりました。

しかし、それとは逆に組手が嫌いでした。
緑帯の先輩が同い年で容赦なく攻撃をしてきて、とても怖かったからです。
同い年とは思えない強さでした。
しかし、声の大きさだけなら負けていませんでした。
柴田先生にも褒められうれしかったです。
オレンジ帯の審査のときは、多分、声の大きさと型で受かったのだと思っています。
その後、順調に青帯、黄帯、緑帯と審査に受かり、自分も六年生になっていました。
自分の中では緑帯の審査が一番大変だったと思っています。
柴田先生は普段から「緑帯以上は先輩になるから、準備運動や基本動作の号令掛けられるようになること。」と言われているのですが、自分はなかなか覚えられず、何度も先生に怒られていました。
稽古に行く前に何度も何度も号令の順番を頭の中で確認していました。
それから、夕方寝過ごし、稽古に遅刻すると、とても怒られました。
寝過ごしたときは世界の終わりかと思えるくらい怖かったです。

ある日、学校の友人とケンカをし、また、泣かされてしまいました。
「なんで、空手をやっているのに泣かされなきゃいけないんだ。」と思いました。
泣かされないように空手を始めたのに泣かされたのはとても悔しかったです。
悔しかったので、この頃から、稽古が終わった後に自主稽古を始めました。
自主稽古の内容は主に拳立て伏せでした。
毎日やっていたら、いつの間にかたくさん出来るようになっていました。

中学に入学してから、一旦は卓球部に入部しました。
最初は野球部に入部しようと思いましたが、仮入部のときの練習で空手と平行してやることは厳しく、大変だと感じたからです。
卓球部を選んだのは、野球部ほど大変ではないと感じたからです。それと、面白そうだったからです。
部活の終わった後の稽古は辛かったですが、とても、頑張っている感じだったので、三年間この調子で続けようと思っていました。

しかし、夏休み前に出された成績が悪く、部活を断念することにしました。
勉強も、部活も、空手の稽古も両立させた仲間を見ていると「凄いな」と思います。
部活を辞めたため空手に集中し、今まで以上に頑張ろうと思いました。
おかげで号令も次第に間違いなく掛けられるようになり、遅刻もしないようになりました。

中学二年生になって、茶帯の審査を受けることになりました。
茶帯の審査は一度で帯の色が変わらない可能性が多いので、型の稽古を今まで以上にやりました。
結果、型と拳立て伏せで大石最高師範に褒めていただき、一発で茶帯に合格しました。
しかし、組手の審査では同い年の道場の仲間が相手で、一本取られた時は落ちたかと思いました。
受かって本当によかったと思いました。

ある日、学校のみんなが頑張って部活をやっている中、自分は授業が終わるとすぐに家に帰っていたことが嫌になり、少しでも稽古になるようにと、河川敷を走ることにしました。
回数は少なかったですが十キロくらいの距離を走っていました。もともと、走ることは好きだったので苦痛には感じなかったです。

中学三年生になって成績が良くなかったので、親からは「空手を辞めろ。」と言われました。
このままでは高校へ入学出来ない可能性もありました。
好きな空手が続けられないのはとても悲しく感じたので、少しずつ稽古回数を減らして、その年の六月末で空手を辞め、勉強に力を入れました。
無い頭を使って、頑張って勉強しました。
時間外でも塾へ行き勉強を教えてもらいました。
しかし、走ることは気晴らしに続けていました。

弟も同じ道場で空手をやっているのですが、ある日、弟が道場から持ってきたお便りに、道場の仲間が全日本ジュニア大会で入賞したのを知りました。
とても羨ましく思い、いつか自分も大きな大会で優勝したいと思い、勉強にも気合が入りました。

成績が徐々に上がり、無事高校に受かりました。
受かった当日に道場に行き稽古しました。
半年間のブランクがあったのですが、走っていたおかげであまり大変には感じませんでした。
どちらかというと、寧ろ体が軽く動きやすかったです。
さらに、やる気が満ちあふれていました。

道場に復帰後は稽古に集中し、函南大会に出場しました。そこで、三位に入賞しました。
今までは、一度も入賞したことがなかったのでとても嬉しかったです。

次に出場する試合では優勝しようと思い、どうしたら優勝できるかを考えてみたら、答えは簡単で、試合に出場するどの選手よりもたくさん稽古すればいいのだと分かりました。
そして、一生懸命稽古し、千葉県大会では優勝出来ました。
努力してよかったと実感しました。

そして、意気揚揚と全日本ジュニア大会に出場しましたが一回戦で負けてしまいました。
やはり、全日本ジュニア大会の壁は高いと感じました。

今回、黒帯を頂くことになりましたが、これからも、試合に対して諦めない気持ちを持って取り組み、結果を残したいと思っています。
そして、また、今までに培った精神と技術をさらに向上させ、師範、先輩、後輩らと一緒に心・技・体を極めていきたいと思います。
最後になりましたが、今まで御指導いただきました、大石代悟最高師範、柴田自由師範、そして、静岡南道場の皆さんにお礼を申し上げます。
今後ともよろしくお願い致します。


押 忍