渡邉 竜也 初段(羽鳥道場)
〜2009年2月15日取得〜

 

 自分が、極真会館羽鳥道場に入門したのが今から7年前、44歳の時でした。
この時すでに2人の息子(当時、幼稚園年長と小学3年生)は、一足先に本通道場に入門しており、時折仕事帰りに道場の外から極真空手はいったいどの様な稽古をするのか、興味を持って長澤先生の指導する稽古風景を見学していました。
 自分は、「空手バカ一代」の世代で高校生の頃、友人と映画館に「地上最強の空手」を観に行き、極真空手に畏敬の念を抱いたものです。
 あれから、30年近くたって、まさか自分が入門するとは思ってもいませんでした、おそらく、息子達が先に入門していなければ、入門していなかったと思います。
 稽古を始めてからの数ヶ月間は、準備運動と、基本稽古が終わった時点で既に息が上がり、足はがたがたという状態でした。
 仕事柄、普段から体力の維持には気を使ってきた心算でしたが、自分の体力の無さに愕然とし、よほど覚悟しないと空手を続けていくことができなくなると感じました。
 長澤先生は、稽古の時「自分は、入門した者全員を黒帯にする覚悟で指導しています。」と言われます、その言葉に勇気付けられ、今まで続けてこられました。
 7年の間には、昇級審査、合宿と試合も経験しましたが、辛かったのは試合や稽古中の怪我で稽古に通えないことでした、自分の年齢では後がありません、あきらめてしまったらそれで終わりです。
 今回の公認昇段審査から8ヶ月ほど前、組手中に肋骨を骨折し稽古を4ヶ月近く休んでいました、この時自分の心の中では、このまま空手をあきらめてしまおうか、もう一度やり直そうかと葛藤する毎日でした。
 そんな時、長澤先生から一本の電話が入りました、「竜也さん自分は、2月の昇段審査を受けますが、一緒に受けませんか。」と言うお話で、この時の自分には信じられないような言葉でした。
 この先生の一言で全ての迷いが吹っ切れ、今回の公認昇段審査を受審することになりました。
 長く稽古を休んでいた不安は覆うべくも無く、それを気に掛けてくれた長澤先生は、個人的に昇段審査に向けて行うトレーニングに自分を招いてくれ、自信を持たせて戴きました。
 羽鳥道場の柴田聡先生には「竜也さんなら大丈夫です。」と励ましの言葉を戴きました。
 こうして、いよいよ7年間積み重ねてきたものを全て出し切る公認昇段審査会へ向かうことになりました。

 平成21年2月15日静岡市北部体育館の柔道場において正午から公認昇段審査会が行われました、大石道場の定期に行われる審査会とはまた違った緊張感が会場全体に広がり、審査を受ける人も応援に来場している方々にも一様に張り詰めた感じがしていました。
 大石主席師範の号令の下、準備運動、基本、補強と進み型の審査、この型の審査で異常に緊張し、口の中はからから、頭の中は真っ白、型の名前を言われても一瞬「あれ、なんだっけ」といった状況で、正しくできたかどうか、途中間違ってしまったような、勝手に体が動いて全ての型の終わった時には息が上がり、汗が噴出しました。
その後、休憩を挟んで連続10人組手。
 前に立つのは初段の先輩方、1人目2人目と進むうち息上がり1分の組手時間が大変長く感じるようになって来ました。
 不思議なことに、頭の中は冷静で、途中苦しくなったとき淺田先輩のアドバイスがはっきり聞き取れ、無我夢中でしたが、力を出し切って組手を終わることができました。
 今回、大石主席師範から昇段を許されましたが、ようやく門前に立ったばかりだと思い、帯の色に負けないよう努力と精進を怠らないよう頑張っていく所存です。
 入門してからこれまで、稽古をつけてくださった先生、先輩、道場生の皆様真にありがとうございました、心から御礼申し上げます。

                                               押忍