海野 富枝 初段(静岡東道場所属)
〜2007年12月2日取得〜


 自分が入門したのは平成11年5月15日でした。当時は喘息、過呼吸、腰の椎間板症、アトピー、健康面からいって最悪でした。それにくわえて気が弱く消極的で人一倍不器用です。昔は、気合い恥かしくて出来ない。押忍も言えないくらい消極的で、自分の殻に閉じこもっていました。
 そんな自分がさまざまな出会いや経験によってたくさんの気持ちたくさんの事を学びました。本当にいろんな先生、先輩方にお世話になっています。自分はすごく恵まれていると思います。今まで、もう無理だというときが何回かありました。その時必ず人に助けてもらっているのです。
 今回10人組み手を受ける事は本当に決断が難しかったです。普通なら型が合格すれば、次は10人組み手を受けると思います。自分は勇気がなかったのです。黒帯がものすごく重いもので怖かったからです。それに10人とは出来ない、普段基本稽古から息がすぐあがっている状態でスタミナがなく10人は絶対に無理と決めつけていて自分を信じる事が出来ませんでした。ある稽古の日に先生に今回は受けなさいと強く言って頂き決意が固まりました。受けると決めたから、やるしかないという気持ちに変わったのです。
 すごく忙しいはずなのに、忙しくないから大丈夫と嘘を言ってくださって、時間を作って教えて下さった先輩、その気持ちが自分の強さに変わったのです。とにかくやるしかない。教えて頂いた事を頭の中に叩き込みました。そのときの集中力は自分でも信じられないくらいでした。朝早くから時間を作ってビックミットを持ってくださった先輩、9ラウンド目で過呼吸になってしまい酸素が吸えない、まずいと思った瞬間、大丈夫と言っておもいっきり背中を擦ってくれた先輩、先輩の事を信頼しているからでしょうか、10秒ぐらいで治まったのです。最後はおもいっきりやれ10ラウンドを終えることが出来ました。ある日曜日、このことは一生忘れない1時間です。この瞬間、この時の事は忘れないと、その時に思ったのです。
 この稽古した後のまぐろたたき丼はどれほど美味しかったか。今も鮮明に思い出せます。審査会を受けるにあたりプレッシャーでしょうか、風邪をひいてしまい、治らなく気持ちは焦っていました。このままでは厳しい、でもどんなに体調が不調でも今回は逃げないと決めていました。不思議と当日はほとんど治っていたのです。審査会に東道場の父兄さんが応援に来てくださいました。ものすごくうれしかったです。
 今回は、ある事を自分に約束しました。苦しくても顔にださない、今までに出来なかった事です。応援してくださる方がいるのです。精一杯戦おうと思いました。確か7人目でしょうか?かなりきついと思った瞬間、対戦相手がある先輩でした。目をみた時、大丈夫、頑張りなさいと心の中で言ってくださっているように感じたのです。力がわいてきました。力が出たのです。
 今回、先生方、先輩方、少年部、父兄の方の力を頂いた事で10人組み手が達成しました。空手は生活すべてにつながる事、仕事の面、健康面、稽古を通じてて先生、先輩に大事な事、大事な気持ちを教えて頂いています。これからの課題はたくさんあります。少し前に先輩の十八の型を見たときに息をのんでしまいました。指先まで魂がはいっているかのような型でした。圧倒されました、自分には足りないものがたくさんあることを感じます。空手を通じてとくにここ数年間は、仕事の面でもいい方向に変わっていっているのがわかるのです。
 朝波先生、本当に有難うございます。これからも地道に頑張って精進していきます。

押 忍