田口 晴久 初段(加古川道場)
〜2016年03月13日取得〜


 
この度、公認審査会受審の機会を与えてくださった大石範士に、心から感謝いたします。

 私が極真空手を知ったのは、中学生の時本屋で偶然手にした、大山総裁の著書「世界ケンカ旅行」でした。 地上最強のカラテといわれた極真空手に憧れ、以後も総裁の本を読み続け、映画「地上最強のカラテ」を見て、さらに極真への想いを募らせていました。

 それから約30年後、偶然目にした空手雑誌に掲載されていた、範士の対談記事を読ませていただいた時、第1回世界大会等において、華々しい上段回し蹴りで対戦相手を倒していったことで有名な大石範士が、空手の型を大切にし、研鑚されていることを知り、「もし近くに道場があれば入門したい」との思いを抱いていたところ、私が50歳の時、偶然、自宅近くに大石道場加古川支部があることを知り、すぐに体験入門をさせていただきました。

 年齢と日頃の不摂生のため、基本稽古で息を切らし、特に前蹴り上げでは、腰の高さまでしか脚が上がらず愕然としましたが、稽古によって得られた爽快感や充実感の虜となり、すぐにその場で入門を決心しました。周囲の者から「50歳過ぎて、なんて無茶をするんだ」と言われたこともありますが、範士が、空手日記に書かれておられた「青春とは人生のある期間ではなく、心の持ち方をいう」のとおり、若い頃に抱いていた強くなりたいとの思いを持ち続け、50歳の青春として、約6年間、吉崎支部長はじめ、先輩の指導を受け、稽古に励んできました。

 公認審査会の厳しさは聞いてはいたのですが、緊張の中、いざ本番となると、想像以上の重圧から、基本稽古、型、補強と進み、いざ組手となると相手をしていただいた有段者の方には全く歯が立たず、立っているのがやっとの状態でした。その時、折れそうになる私の気持ちを支えてくれたのは、稽古後にも指導をしてくださった支部長をはじめ、先輩や稽古に付き合ってくれた仲間の気持ちを無駄にするわけにはいかないとの想いで、意識が薄らいでいくような状態の中、何とか完遂しました。

 結果、範士から昇段のお許しをいただき、その連絡を支部長からいただいた時の喜びは、今まで経験した中でも、特にひとしおでした。

 私は、今回の審査会で、「あきらめない心」と「仲間」の2つの大切さを学びました。 今後は指導員として、道場の指導に当たっていくことになりますが、これからが極真空手の第一歩と気を引き締め、今回の審査会で痛感した未熟な部分の補強と極真空手の正確な技、型の伝承に努めていきたいと思います。

 今後大石道場兵庫支部の発展に、微力ながら尽力していく所存です。 機会をくださった大石範士並びに吉崎支部長に厚く御礼申し上げます。

 押忍