立枝 繁年 初段(御殿場道場所属)
〜2007年06月03日取得〜

 私は、平成五年一月、大石道場沼津本部に入門し,十三年が経過しました。仕事を終えた後、稽古時間に遅れないよう、後輩と車を走らせた事が懐かしく思い出されます。小山町須走から本部まで通い、師範をはじめ、師範代・先生方の指導を受けるのがとても楽しみでした。その後、職場の上司が師範のお許しを得て、同好会を発足しましたので、本部と職場の両方で稽古する日々が続きました。後に、職場で稽古する事が多くなり、本部から足が遠のいてしまいました。そして、入門後四年で茶帯まで昇級し、次は憧れの極真の黒帯だと思った矢先、当時一歳半の長男の下に双子が生まれ、休会することになりました。それから、自主トレーニングのみの三年間が過ぎていきました。その間、職場の同好会も先生の諸事情で休止してましたので、私が復帰する際、御殿場で活動されていました、田原先生にご相談させていただき、師範より、復帰についてありがたい返事を頂きました。師範は、「やりたければやればいいですよ」と復帰を許して下さいました。師範、先生に感謝致すと共に、極真は、去る者は追わず・来る者は拒まずという事を実感しました。
 復帰後、御殿場道場で稽古を続け、平成十六年八月、型の審査を受審するにあたり、毎回の様に、稽古開始前に先生に型を指導して頂きました。お陰様で無事、合格する事ができ、とても嬉しく思うと同時に、次は十人組手に目標を置き稽古する決意をしました。
 十人組手の稽古においては、教わった型を自分の物にする為に、 最初に型ををやり、その後、補強やミット打ち等する稽古を続けました。十二月の審査まで残り一ヶ月を切り、審査の申込をした直後、仕事の都合で審査を断念せざるをえなくなり、次回に延ばすことにしました。その後、仕事の都合でなかなか稽古に出られず、仕事を終えてからの自主トレーニングが多くなり、とても十人組手をやれる日はこないのでは、と思うようになりました。それでも、あきらめてなるものかという強い気持ちがあった為、悩みました。そんな時、先生から「次の審査で十人やろうか」「目標を持った方が、張りにもなるだろうから」とお言葉をいただき、再び「よし、絶対あきらめないで、何とか時間を作り稽古しよう」という気持ちになりました。そして、また、十人組手の稽古を始め、年内は道場稽古と自主トレーニングを続け、平成十八年の年を迎えてからは、道場稽古の後や、稽古日でない日にまで、私の稽古に、先生をはじめ、後輩達に協力して頂きました。そんな中、無事、平成十八年三月十九日の審査当日を迎えることができました。当日は、十人戦い抜くことができるのか、最後まで立っていられるかと不安になりながらも、今まで出来る限りの稽古はしたと、自分に言い聞かせ、精一杯やるぞと自分を叱咤し、出番を待ちました。
 そして、ついて十人組手が開始されました。一人目、二人目と続き、四人目くらいから、腹に鈍い痛みを感じ押されはじめ、歯を食いしばり向かっていきました。五人目から最後の十人目まで、腕が重くなり、苦しいのは変わらずでした。しかし、皆さんの応援に後押しされ、何とか十人組手を完遂することができ、達成感と感謝の気持ちで一杯になりました。
 私のような者が昇段できたのも、周りの方々のご協力・ご声援があったからこそと思いました。また、仕事と空手だけに打ち込める環境を作ってくれた妻、遊んでもらいたいのを我慢していた子供達。そして何より、今回の受審をお許しいただいた大石主席師範、受審にあたりご指導・ご心配をいただいた田原先生、本当にありがとうございました。心より、御礼申し上げます。
 これからも、大石道場の道場生として、技・心を錆びさせないよう稽古に精進していきます。

押 忍