伊奈 隆 初段(都留道場)
〜2011年3月06日取得〜


 私が大石道場の門を叩いたのは、往年になってからです。 それまで何もしていなかった私がいきなり「極真空手」です。
体験の時、先輩達のスパーリングを見て、正拳で胸を殴るとあんな音がするんだ、 あばら骨折れるよなーと覚悟しました。案の定、半年の間にあばら骨が2ヵ所同時に ヒビ、あと1ヵ所はポッキリと骨折し足は蹴られ毎回稽古のたびにボロボロで どうやって帰ろうか考える程でした。1年もするとだんだん慣れ、怪我も少なくなり 足の痛みも気にならなくなってきました。気が付くと帯の色も茶色になり、昇段という 事を考える様になりました。そんな時、廣瀬先生から「昇段審査を受けなさい」と 背中を押して頂き、審査に向けて稽古を始めるようになりました。
入門してから、週3回の稽古は一度も休まず続けてきましたが、それでは足りず、 土曜日に廣瀬先生の所へ出稽古に行き、日曜日は自主練習と週5回の稽古への切り替え、 それに加えて毎日昼休みに筋トレをするようになりました。しかし、焦る気持ちとは裏腹に 悲鳴を上げてくる身体、くじけそうになる気持ち・・・。
そうこうしているうちに昇段審査会前の型の審査の日がきてしまい、弱い気持ちが型に 出てしまうのか、最高師範より「苦手な所があったら何回も何回も稽古するんだ、あなたより もっと上の人も頑張っています、まだまだです。」との言葉を頂き、くじけそうな弱い気持ちを 振り払い、自身を奮い立たせました。
年が明けてから月曜日の稽古は最高師範稽古になり、より一層稽古に厚みを増し、特に精神的な 面では黒帯としての自覚・心構えなどを教えて頂きました。
 昇段審査の時には、芹澤事務局長が50人組手の時におっしゃっていた「苦しい顔してないか」 という言葉を思い出し、自分はしていないか。長澤師範の骨折している状態での拳立て・腹筋・スクワット・ 組手、まるで骨折しているのが嘘のような振る舞い。
自分も痛みを我慢し顔に出さぬ様にしなければ・・・。
廣瀬先生のように、準備運動から組手まで手を抜く事無く自分の力を精一杯出し切る様にしなければ・・・。 小澤先輩の「一番先に倒れたっていいじゃないか、手を抜いて最後まで持たせるよりも精一杯やって 途中で倒れたっていいじゃないか」そんな言葉を思い出し、師範をはじめ先生方や先輩方が築いてくれた 道標に少しでも近づこうという思いで審査に挑みました。
審査会での出来は決してこれで良いと言えるものではありませんでしたが、最高師範よりお許しを 頂く事が出来、昇段となりました。

移動、組手と反省すべき点は多々ありましたが、審査会までの稽古、自主練、体力作りは1日たりとも 悔いのない充実した日々でした。
最高師範を始め、多くの皆様にはご指導して頂き大変有り難く、心より感謝しております。
稽古にお付き合い下さいました先生、先輩方、道場生の皆さん有り難うございました。
これからは、後輩達の育成・指導にあたり、尚一層自分自身努力し、最高師範の教えの通り 極真の黒帯として恥じる事の無い様頑張っていきたいと思っております。
これからもご指導の程、宜しくお願い致します。

押 忍