渡辺 俊介 初段(本通道場指導員)
〜2008年8月3日取得〜

 自分は97年に草薙道場に入門しました。当時、何に対してもがんばる事をしてこなかった自分を変えたいと思い、格闘技を見るのが好きというのもあり極真会館を選びました。最初は稽古をしているだけでいいと思い、試合や合宿等の行事があることに関して、あまり積極的に参加しようとは思いませんでした。しかし、先生、先輩方に参加する事を誘われ、迷っている自分に対し、皆さんは、結果がどうであれ一歩踏み出して苦しさや嫌だとか怖いという気持ちを乗り越えていく事が大切な事だと教えてくださいました。それは今の自分の生活に於いても最も大切な教えになりました。
 入門してから半年後、初めての審査を受けました。緊張の中、自分の事はあまり覚えていませんが、その時に10人組手が行われたのを見て、必ずこれだけはやろうと思いました。 しかし、それから数ヵ月後、仕事の都合で静岡を離れ、空手を続ける事ができなくなりました。それでも、いつか10人組手を行い黒帯になりたいという気持ちは消えず、身体を鍛える事は続けました。
  新たな仕事の都合で実家に戻り、その仕事が起動に乗り始めた時、近所にあった本通道場で稽古を再開しました。本通道場は強い先輩、仲間が多く、試合を目指す人も多く、きつい稽古で、特にスパーリングでは、常に恐怖心を抱いていました。何度も、やめて楽な生活をしたい、好きなときに自分のペースで運動できるだけでもいいんじゃないかと思いました。しかし、10人組手を、黒帯を目標に戻ってきたという事をいつも言い聞かせ踏みとどまりました。
  強い先輩方、仲間たちの御蔭で稽古を通じて、身体も強くなりましたが、簡単に諦めない心と、苦しい時や困った時こそ一歩踏み出す気持ちが鍛えられました。その心は10人組手を行っている最中にも自分を支えてくれました。
  今回、修行の真のスタートラインに立てることは自分一人の力ではないことを改めて感じました。今まで、自分より才能のある人、身体能力が高い人、気持ちが強い人が多く道場に入門しましたが、仕事や家庭の都合で稽古が続けられなくなってしまうことも多くありました。自分は今までお世話になった道場の皆さんに支えられ、身の回りの人達に支えられ、続ける事ができ、またこの審査を受けるにあたり自分の人間性についても見ていただいた師範に対し感謝の気持ちで一杯です。
  これからも、いろいろな経験を積み、極真カラテを一生懸命やりたいと思う人達と共に歩んでいければいいと思います。
                                    押忍