大柿 義輝 弐段(栃木支部)
〜2016年03月13日取得〜


 
大石代悟範士、この度は公認審査会受審の機会をいただきありがとうございました。

  7年前に「極真」の黒帯を締めさせていただき、本物の筋金入りの男になるんだとの思いで精進してまいりました。そして今回の公認審査会は「宇都宮道場としての挑戦」との思いで受審させていただきました。

  公認審査会受審を決心する前にある事を思い出し相談したのが海野師範でした。ある事とは、3年前に出場した大会で初戦敗退し、落ち込みながら当時の大石最高師範に結果報告と挨拶に伺った時に「試合の勝ち負けもよいが、今度は一つ上を目指しなさい」と言葉をいただきました。その時の私は、負けたショックと悔しさのため意味を深く考えず押忍と答え、上の大会を目指して稽古するんだとの思いでいました。

  しかし昨年の東日本大会終了後、あの時の言葉を思い出し「上を目指せ」とは、考え悩んだ末に海野師範に相談したところ、「当時の最高師範は、昇段(上)を目指せと言いたかったんだよ」と、簡明な答えをしてくださいました。そして「本気で昇段を目指し来年、公認審査会を受審する気持ちがあるなら大石範士に公認審査会への推薦をするよ」と言ってくださいました。翌日には「大石範士へは審査会へ推薦の話をした」との連絡をいただき、この日から公認審査会挑戦への強い気持ちと「もう後戻りできない」不安な気持ちが心の底からこみ上げてくるのがわかりました。

 大石範士へ推薦してくださった海野師範へ恥を欠かせるわけにはいかない。受審の気持ちを伝えたところ激励の言葉と審査会に挑戦する心構えを教えてくださった清水南道場責任者杉本先生の期待を裏切るわけにはいかないと思いました。 海野師範より組手は今のままで良いから型をしっかり稽古する事と助言をいただきました。そのため稽古前には必ず1時間は太極Tから観空までを2回、休日の自主稽古でもサンドバック、ウエイトトレーニングより型中心の稽古をやりました。型は「自分との戦い」と思い時間を多くとりました。 少しは「型」への自信もついた10月には、本部道場で2泊3日の稽古をさせていただきました。

 初日は、午後より太極Tより稽古を始めましたが「拳の握り」「下段払いの出し方」など自分では無意識にやっていた変な癖や間違った動作を中心に注意をいただき「必死になってやらないと覚えられないぞ」と指導注意を受けました。 二日目は、午前10時30分より型稽古を始めましたが「息吹」ができない、息吹ができなければ息吹の型はできないぞ「三戦」をやりなさいと言われ、始めましたが1時間半もすると頭は痛くなる喉はガラガラになり、そろそろ・・・・と思いましたが範士からは休めの話もないのでそのまま3時間ほぼ通しで「三戦」をやり続けました。

 夜は、杉本先生指導の清水南道場稽古にも参加させていただくため早めに本部道場を後にして清水へと向かいました。清水南道場では通常の稽古に参加し杉本先生には型の指導をいただき、稽古後は夜遅くまで杉本先生の「空手学」を聞かせていただきました。

  三日目は、午後より本部道場で杉本先生と日下部先輩と3人で範士より型の指導をしていただきました。しかし初日に注意された悪い癖が治らずまたしても同じ注意を受けて杉本先生と日下部先輩の型をしばらく見学となりました。今まで自分に都合のいい稽古をしてきた自分に情けなさを感じました。 しかし、夕方になると「さあ!もう稽古は終わりにして食事にいこう、よく3日間稽古をやったな、もう怒らないから安心しなさい」そして「大柿さんの良いところは最後まで全力でやったことだ」そのような言葉を大石範士からいただき目頭が熱くなりました。

  本部道場に来てよかった、特別なことはしていないが「本部道場で稽古をする」その気持ちが大切だと感じた。その夜は稽古をやりきった気持ちと安堵感でもう一泊することになりました。(翌日は午前11時より宇都宮道場で型稽古のため朝4時に沼津を後にしました) 審査会前の2月にも本部道場1泊2日で日下部先輩と一緒に型稽古させいただき、夜の稽古にも参加させていただきました。やはり本部道場で稽古するとよい意味での緊張感があり、やはり気持ちがいいと感じました。

  審査会直前には海野師範より「失敗を恐れない」「100点はいらない100の力を出しきる」「苦しい時、苦しい顔をしない。前を向く」とアドバイスをいただき気持ちを落ち着かせ審査会に臨みました。審査会も始まり最初から最後まで全力でやるんだと力を出しきっていましたが型審査の途中から頭の中に「間違えたら・・・・」と雑念が入り頭の中が真っ白になってしまいました。平然とやるんだと思った20人組手も完遂しましたが安藤先輩から腹を効かされ「苦しい顔」をしてしまい、最後には終わった安堵感と疲れから顔を下げてしまったように思います。普段の稽古で道場生に「苦しい顔をしない、下を向くな、不動立ち」と指導している自分がやってしまい反省しなくてはいけないと思いました。審査会は、やりきった気持ちはありましたがまだまだ足らない稽古だった。「やったつもり」の稽古だったという思いがありました。

  大石範士が常日頃より「必死になってやりなさい」「黒帯であり続ける事は、黒帯になる事より難しい」この言葉を忘れずに常に前を見て進んでいきます 今回、対戦相手になってくださり応援してくださいました大石道場の先生、先輩方、道場生、遠く宇都宮より応援に来てくれた宇都宮道場生、家族ありがとうございました。 いつも私が悩むと必ず、相談に乗ってくださり良い方向へ導いてくださる海野師範、杉本先生ありがとうございました。

  押忍