成瀬 博規 初段(藤枝道場指導員)
〜2008年2月24日取得〜


 押忍。このたびは、初段を許していただき、ありがとうございました。 私は13年前に入門しましたが、3年目くらいから家庭の都合などにより、稽古をよく休むようになり、また、一度休み始めると気持ちの弱さから、サボりがちになってしまいました。1ヶ月に1回か2回しか稽古に出なかったり、しばらく続けて出たかと思えば2,3ヶ月休んだりとか、そういう時期が長く続いてしまいました。続けて稽古に通っているときには出来ていたことが、間があくと出来なくなっていて、継続することの大切さを何度も感じました。そんな自分ですが、久しぶりに顔を出しても先輩方や後輩たちはいつも暖かく接してくれて、行事に参加したときには大石主席師範をはじめ、たくさんの先生方、先輩方が、「お、成瀬、久しぶりだね。」とやさしく声をかけてくださいました。本当にありがたかったです。そうしていくうちに、藤枝道場は加藤先輩が1人で切り盛りする形となり、大変な苦労をして道場を守っている先輩の姿に、自分も甘えてばかりいないでなんとか力にならなくてはと考えるようになりました。ちょうど仕事や家庭のほうも落ち着き始め、「よし、黒帯を取ろう。」と決めました。まずは、とにかく稽古を休まないことを心がけ、自主練では足腰を鍛え直すことと、型を丁寧に繰り返すことを中心にがんばりました。続けて稽古をするようになると、自分が伸びてきている、変わってきているという実感も得られ始め、また同時に、たくさんの「出来ていないこと」や「出来るようになりたいこと」がわかり、もっともっと稽古していきたいという気持ちになりました。そして、一昨年の12月に型の審査を受け、昨年4月に10人組み手に挑戦しました。10人組み手に向かう期間は「最後までやり遂げなければ。後輩の見ている前で絶対に倒れてはいけない。」という緊張と不安がつづき、毎日練習してはいるものの疲労感ばかりが蓄積し、とても苦しい時期となりました。やはり道場稽古を増やさなくてはと思い、2月半ばから思い切って藤枝北道場の稽古にも出させていただくことにしました。橘先生に厳しく稽古をつけていただき、自分のスタミナのなさを痛感しましたが、不安は吹き飛び視界が開けたような気がしました。10人組み手の当日には、先生方をはじめ、先輩方、後輩のみなさんから励ましの言葉をいただき、「どんなことになっても絶対完遂するぞ。」とますます気合が入りました。しかし、本番では前へ前へという気持ちより、耐えなければという気持ちとなってしまい固まってしまったように思います。それでも、たくさんの声援に励まされ、また、主審をしてくださった長澤先生、対戦相手になってくださった先輩方の暖かい気迫を感じ、なんとしてもこういう人たちの仲間と認めてもらいたいという気持ちも湧きあがり必死にがんばりました。なんとか完遂しましたが、結果は、初段預かりということで、「さらに心身鍛え、指導経験も積んで、次の公認審査会で黒帯を締める決意を見てもらいなさい。」ということでした。公認審査会まで一年近くありました。自分は、あわてないで確実に稽古を積んでいこうと心に決め、型を中心に稽古しました。また、週に二回、指導の日を持たせていただく事にしました。指導をする事で学ぶことも多く、また、緊張感をもって稽古を継続する事ができ、充実した1年を過ごせたと思います。そして2月24日に公認審査会を受けました。数日後、加藤先輩から、「合格です。」と連絡を頂き、いよいよ道の上に立ったんだと、ぐっと身の引き締まる思いがしました。これから、藤枝道場と道場の仲間を大切に、そして、きちんと空手の道を歩いてくよう頑張っていきたいと思います。最後になりましたが、ずっと見守ってくださった大石主席師範、先生方、快く稽古をつけてくださり、また貴重なアドバイスをたくさんくださった橘先生、長い間、繰り返し、繰り返し丁寧に指導してくださった加藤先輩、身体を張って練習に付き合ってくれた後輩の皆さん、応援してくれた少年部や保護者の皆様、本当にありがとうございました。

押 忍