栗原 隆 初段(静岡南道場指導員)
〜2008年2月24日取得〜

 この度、昇段審査を受ける機会をいただいた大石代悟主席師範、8年余指導して頂きました柴田自由先生に心から感謝します。そして、遅くまで練習に付きあい叱咤激励頂きました静岡南道場の先輩と道場生の皆様にお礼申し上げます。   私が極真会館 大石道場・静岡南の門を叩いたのは、8年程前の30歳の時でした。当時は結婚予定もあり職業も転職を予定していた忙しい時期でした知人が入門していたのがきっかけでした。私の場合、学生時代から球技しか経験がなく武道も極真空手に対しての知識も全く無しからのスタートでした。ただただ知人が入門したから興味本位でといった安易な気持ちからの体験入門でした。 学生時代とは違い社会人になってからは球技を趣味程度で2週間に1度程、行っていただけで、普段から充分に体を動かしていた訳ではありませんでした。しかし、当時は何故かそんな運動量でも体力的には自信安気な部分があったのです。そして正式入門してみますと、廻りの先輩達に比べ体力が全く無かったこと体の硬さに衝撃を受けました。また人間として忍耐の無さや簡単に何事にもあきらめてしまう姿勢等何一つとっても勝っているものはなく未熟でした。その後は先輩や道場生のみんなについていこうと仕事の合間をみて必死に稽古をするようになりました。しかし絵に描いたようには進歩していきません。また空手は型というとても難しいものもあり、これにもまた苦しみました。その後、試合にでても良い結果はでませんでした。私の人生の中でなによりも難易度が高く悩んだもの、そして、いつのまにか憧れになっていたもの、それが極真空手となりました。 そんな理由でもっともっと 知りたくなり情報をとろうとするうちに先生や道場生の方とも自然に交流が生まれ、幅広い年代層そしていろいろな職業の道場生の方と親しくなる事ができました。また試合をした他の道場の方とも親しくして頂き、私の中の今までの領域以外に多くの皆様と接触できたことで広い世界が出来ました。この歳になって損益に関係なく一緒に汗を流す事がなによりも嬉しかったし、これが私の活力源になりました。そして又、励まされ、相談させて頂く仲間も増えたことで今まで継続できたと実感しております。  十人組手は4ヶ月前から道場生の協力を頂きながら準備しました。体力に不安を感じていた私は納得いく稽古量をこなさなくてはと思いランニングや補強とキックミット、そして自分なりに組手を今まで以上こなしてから望みました。 そして遂に4月6日審査会の日がきました。私の順番になりました。実際あの場所に立ってみると緊張は大変なものでした。1人目2人目となんとか経過し5人目以降、自分の想像していた状態とは全く違いました。 息は思ったより早くあがるし、最後まで立っていられるかが不安で、心配で、しかたありませんでした。5人目以降は終わるたびに柴田先生から適切なアドバイスを頂き、気持ちを落ち着かせながら組手は進んでいきました。7人目以降は廻りにいた道場生の幼・少年部から一般部そして幼少年部の御父兄の皆様の応援も自分を大いに奮い立たせて頂きました。「途中で終わるわけにはいかない、自分は静岡南道場を代表してここに立っている」ということを再認識させてくれました。最後の10人目についてはとにかく悔いの残らないようにと、自分自身に言い聞かせながら、なんとか終える事が出来ました。そして皆様から胴上げをして頂いた事は一生忘れられない程の達成感がありました。 最後に私自身決して運動能力が優れているわけでもなく、人よりも忍耐力が高いわけでもなかったのに皆さんに支えられここまでくることが出来ました。人間あきらめずに行えば必ず実現するということを証明できました。まだまだ未熟ですがこの経験を生かし後輩達への指導と極真空手の黒帯に恥じないよう精進していきたいと思います。 押忍