小林 邦久 初段(美和道場)
〜2008年12月7日取得〜

「強い自分を求めて」

 大石代悟主席師範、海野先生、先輩方には、平素より相変わらぬご指導いただき有難うございます。

 私が極真空手と初めて出会ったのは、中学生の時でした。その頃少年雑誌に「空手バカ一代」が連載され、それを毎週、毎週、むさぼるように読みました。大山総裁の強烈な強さに憧れ、自分も強くなりたくて、極真会館の通信教育にすぐ入会しました。海野先生も同時期に極真空手を始めておられ、何人かの大山総裁に憧れる人達が同好会というかたちで集まり、スポーツ用品店の二階で稽古に励みました。やがて、私は高校卒業と同時に仕事の都合で空手から遠ざかってしまいました。

 それから26年経ったある日、仕事中信号待ちしていると、歩道の先にポスターが貼ってあるのに気づき、何気なく見ると、海野先生が空手着姿で写っているではないですか。あぁ、あれから海野先生は空手を続けられていたのかと感慨深く思いました。私はその時期仕事にも私生活にも何か物足りなく、空虚感でいっぱいの毎日でした。何か自分を変えるものがないかとその事ばかり考えていました。そして、このポスターをみるなり私に必要なものはこれだと思い、すぐ海野先生に電話をかけ、次の週には体験と同時にその場で入門しました。何年ぶりかにやった空手の稽古は新鮮で、終わったあとの何ともいえない爽快感は忘れられません。
そして月日を重ね毎回、毎回心の底から声を出し、無我夢中で稽古していたら、今までの空虚感や虚脱感はいつの間にか心から薄れていきやがて忘れてしまいました。私は極真空手が自分を変えてくれたのだなと、その時思いました。

 それから6年、いよいよ1級の審査を受ける年に上級者合宿があり、師範から型を指導して頂いたとき、「型はかっこうつけるのではなく、気迫でやるんだ。」と言われました。その時自分の心を見透かされた気持ちになると同時にもっともっと稽古しなければ駄目だなと強く思いました。また、道場稽古では型にしても10人組手においても早い時期から海野先生に熱心に指導して頂きました。海野先生から、「自分には何が足りないのか、稽古量は十分やっているのだから、あとは自分自身の心構えだけだ。いかに捨て身になれるか、又、明日はないつもりでやれ。」と言われました。
その言葉を受け12月7日に10人組手に臨みました。
序盤から前蹴りを腹に受け苦しい展開で始まり、最後までやり遂げることが出来るのか不安が頭を過ぎりました。しかしここで引いたら前の自分と何一つ変わらない、「命懸けにならなければだめだ。」という先生の言葉と、先輩方、道場生の皆さん、父兄の皆さんの声援が何度も挫けそうになった心を奮い立たせていただき、最後までやり遂げることが出来ました。ここまで指導して頂いた海野先生をはじめ先輩方、それに関わってくれた道場生の皆さんには感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。50歳にしてこういう経験をすることは滅多にないと思います。いい経験をさせていただきました。この経験は今後、普段の稽古、そして社会生活に必ず活かされることと信じます。師範が常日頃から話されている、「黒帯を取ることが最終目的ではなく、そこからが始まりなのだ。」というお言葉を肝に銘じ、さらに稽古に励み精進するよう努力したいと思います。

                                               押忍