神島 遥菜 初段(総本部所属)
〜2006年9月20日取得〜

 空手を始めて

 私が空手を始めたのは、小学校3年生の夏の終わりでした。私は一人っ子で闘争心が無く、自分の意見や意志を人に言えなくて、いつも周りに流されている子でした。そんな自分がとても嫌いで、心から強く、はっきり自分の意見が言える様になりたいと思い始めました。
 はじめ母に、「空手をやりたい」と言った時は冗談だと思ったらしく、即、却下されてしまいました。でも私は、今のままの自分が嫌だったので、何度も何度も母に頼みました。何度も頼んでいるうちに、母は私の熱意に負け、電話帳を引っ張り出してきました。そしてたまたま電話帳に載っていて、私の生活リズムに合っていたのが、この極真空手でした。
 入門した時、女の子が二人しかいなくて、一般の女性は一人もいませんでした。初めは話す相手があまりいなくて、一人で道場の隅の方にいることが多かったです。でも、毎週毎週稽古に通っているうちに、だんだん先輩達が声を掛けてくれるようになりました。その事は、大勢の大人の人に関わる事が無かった私にとっては、とても嬉しかったです。また、だんだん私が先輩になるにつれて、年下の後輩が増えて、弟や妹がいるような感じになってきたのも、一人っ子の私にはとても嬉しかった事です。
 空手を通じて、いろいろな人に出会えました。普通だったらなかなか話すことの無い年代の人達と話すことが出来たり、審査や合宿、大会などのイベントを通して他の道場の人と仲良くなれたりと、空手を通して得た物はとても大きいです。
 昇段審査で十人組手を受けた時は、同じ道場の人をはじめ、多くの人が応援してくれました。緊張していて頭の中は真っ白だったけれども、主席師範が仰られた「苦しい時に苦しい顔をしない」という言葉が、辛い時に何度も何度も浮かんで来ました。その言葉と皆さんの声援が、私の十人組手後半の力の源でした。一人一人の声援がとても嬉しくて、途中は必死で気が付かなかったのですが、終わってから、主席師範や芹澤事務局長に握手をしていただいて、声を掛けてもらった時には、一気に緊張が解けて、沢山の人の優しさや温もりが感じられて、しばらく涙が止まりませんでした。
 辛かった事、努力が実って嬉しかった事。色々な経験を通じてここまで私が成長できたのは、家族や、大石代悟主席師範をはじめ、先生方・先輩方、後輩達に支えられてきたからだと思います。「初心の心」を忘れず、「人に優しく自分に厳しく」出来るような人間になって、これからも極真空手を続けていきたいです。
                                            押忍