小笠原 快 初段(大井川道場)
〜2017年03月05日取得〜


 この度は公認審査会を受審させていただき有難うございます。 自分が空手を始めたのは小学二年生の時でした。極真空手をしている小学生をテレビで見て、母に「空手がしたい」と言い、近くにある大井川道場に見学に行き入門させていただきました。
 入門当初は同学年の道場生も多く、稽古に行けば皆に会えるのがうれしくて通っていました。しかし落ち着きのなかった自分は大石先生に注意を受けることが多く、あまり意味も分からないなりに覚えようと頑張っていました。  学年が上がるにつれ年上の先輩と組手をやる機会が増え、いつも泣かされてばかりで強い先輩の相手に選ばれないよう、人の後ろに隠れていました。ですが、段々と組手ができるようになるにつれ、大会に出場することが楽しみになっていきました。
 小学四年生で初めて入賞することができ、もっと勝ちたい、いつかは優勝したいと強く思うようになり、さらに稽古に励みました。
 小学六年生で初めての全国大会に出場することができましたが、これまで戦ったことのない県外の選手との試合では思うような成績が残せず、自分の甘さ、心の弱さを痛感しました。もっと勝ちたいと心の底から思うようになり、普段の稽古においても最初から最後まで全力を出し切ることを心がけるようにしました。大石先生にはその頃から稽古に対する意識が変わったと最近になり言われました。
 中学校に入学する頃になると、これまで一緒に稽古してきた仲間達が部活などで辞めていき寂しく思いましたが、こんな自分でもいつの間にか先輩の呼ばれるようになっていたので、後輩たちの手本にならなくてはと思い、それまで以上に稽古に励みました。
 大会では、それまでと違い全学年での試合となり、上級生の先輩には全く歯が立たず、またしても自分の実力の無さ、心の弱さに直面しました。ちょうどその頃、松浦先輩が声を掛けて下さり、出稽古に連れて行っていただく様になりました。技術的な事以外にも、礼儀作法についても教えて頂き大変勉強になりました。
 出稽古では焼津みなと道場の田平先輩、吉永先輩に稽古をつけてもらい、より実践的な内容とスタミナ強化の面で鍛えていただきました。普段の道場稽古と強化稽古では、大石先生に心構え、基本動作、型、組手や礼儀作法まで、自分の空手の基礎となる部分を丁寧に教えていただき、本当に感謝しています。これまで頑張ってこられたのは大石先生をはじめ、周りの先輩方や仲間達に恵まれたおかげだと本当に心から感謝しています。
  一緒に頑張ってきた仲間の一人でもある望月瑛斗君とは、小学生の頃から何度も対戦し中学三年生になるまで一度も勝てませんでした。瑛斗君は常に自分の前を走ってく最高のライバルです。瑛斗君という存在があったことで自分もここまで成長できたと思っています。
 昨年は、世界大会という大きな舞台に立つことができ、大会前の強化練習では大石道場を代表する先輩方と稽古をさせていただいた事で、肉体的、精神的にも成長することができたと思います。
 昨年の公認審査会の対戦者として参加させていただいた際、「自分も先輩たちのような黒帯になりたい」と思っていたところ、大石先生から「来年は快だな」と言われ、その時はじめて事の重大さに気づき、自分が思っていたことを後悔しました。なぜなら大石先生の言葉を聞いたとたん「自分では黒帯になれない」と弱気になってしまったからです。「黒帯になりたい。でも今の自分の実力では黒帯にふさわしくないのではないか・・・」と迷っている間に、世界大会に向けての厳しい稽古が始まり、その事を考えたり悩んだりする余裕がなくなっていました。夢中になっている間に世界大会、ジュニアチャンピオンシップがあっという間に終わり、昇段審査に向けた稽古が始まりました。苦手な補強がなかなか思うようにいかず、自分の力の無さに嫌気がさす程で、このままでは無理かもしれないと思うことも何度もありました。
 でもそんな時も父と母、高知の祖母が常に励ましてくれ、母は仕事が遅くなった時でも自分の食事や健康の面でいつも気を配ってくれました。毎日の自主稽古を続け、日々の稽古では足りない部分を、大石先生、田平先輩、吉永先輩が細やかな部分まで指導して下さりました。段々と、「絶対に黒帯になる!!」と強く思えるようになっていき、審査会ではこれまでやってきた事を出し切るだけだと覚悟も固まってきました。
  審査当日は会場の緊張感と雰囲気に飲み込まれそうになりましたが、大石範士が仰いました「極地において真を極める」という言葉を思い出し、この審査が自分にとっての「極地」だと考えて臨むことが出来ました。
 入門から9年10ヶ月が経ち、黒帯を締める許可をいただく事ができましたが、まだまだ足りない部分が多くあります。今まで以上に修行し、後輩たちの手本となるような黒帯になります。
 最後になりますが、大石範士、大石先生をはじめ、中塚先輩、朝比奈先輩、松浦先輩、道場の仲間たち、父兄の皆様、ずっと一緒に稽古をしてきた弟、ずっと支え続けてくれた父と母、何度も高知から応援に来てくれた祖母、 感謝の気持ちを忘れることなく、これからの空手人生を邁進したいと思います。

 押忍