９０歳まで挑戦

　大石代悟主席師範から参段を頂いてから早５年、その間に先輩・後輩・同期の仲間達の立派な試合や審査に立会い、自分は参段の器になれているのだろうかと、不安に駆られる事がしばしばな矢先。「昇段審査を受けるように」と師範より命を頂き、正直なところ挑戦したい気持ちと、仕事に追われる毎日で自分の稽古を疎かにしている今、師範の期待に添えるのだろうかという不安で、言葉が見つかりませんでした。１週間ほど思い悩み、「よし！今出来る事から始めよう。どんな結果になろうとも、諦めるよりは悔いは残らない」、と決断し、心のつかえが取れた思いでした。稽古では、指導員の長谷川君・清水さん・堀内君、準指導員の河村さん・長谷川さんの協力で指導に影響も無く、不規則な仕事の中、組手の相手もして頂き、大変感謝しております。
　審査当日の基本・移動・型・補強・組手は、途中から何をやったか覚えておらず、ただ強烈な苦痛と疲労感で、立っているのがやっとの状態でした。組手では、１５人位迄意識がはっきりしていましたが、途中、意識が朦朧となり、主席師範が「あと１０人だよ」と言われるまで、無意識で動いていました。
　終了時に達成感は無く、ただ緊張感から解き放たれ、力を出し尽くせなかった自分を反省し、この挑戦を期に、主席師範が「９０歳までは人は鍛えられる」と仰った言葉が蘇りました。貴重な時間を費やし協力してくれた人達に応えるべく、もう一度入門当時の初心に戻り心を裸にし、信念を持って頑張っていく所存です。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　押忍