山本 英寿 参段(美和道場)
〜2023年3月5日取得〜


 『父兄から先生、憧れから現実に』

 この度は世界総極真公認審査会において参段、三十人組手への挑戦の機会をいただき誠にありがとうございました。

 1999年5月に大石道場(竜南道場)に入門させていただき24年程が経ちました。
 
前年1998年9月に長男が竜南道場に入門させていただいており、私は道場生の父親として海野師範(当時先生)の指導する稽古を道場の後ろから見学しておりました。稽古の回数を重ねるごとに礼節を学び身心共に成長していく我が子を見ていて、私自身中学生の頃に憧れていた極真空手の魅力に急速に惹かれていきました。

 入門する一番のきっかけとなりましたのは、1999年3月、審査会にて海野先生が三十人組手を完遂され、父兄として見学させていただいた時のことです。三十人の相手に立ち向かう先生の勇敢な姿、心の強さに感銘を受け、また迫力のある技の数々に魅了されました。その2ヶ月後に竜南道場で体験入門会があり体験し、その日に入門させていただきました。入門後は親子で道場に通い強くなりたい一心で我武者羅に稽古に励み、試合への挑戦や昇級を目標に掲げて鍛錬の日々でした。
 参加させていただいた大会、合宿、審査会等の行事では大石範士にお会いすることもでき、型や技の数々を拝見させていただき、鋭い蹴り、手技の速さとしなやかさに感動し、また多くのお話を伺うことで益々極真空手の魅力にのめり込んでいきました。
 長男は2004年に退会してしまいましたが、2007年には次男が入門させていただき、再び親子で道場に通う日々が続きました。体が小さく細かった私は組手で痛い思いや圧力負けして悔しい思いをしましたが、『あきらめない心』で精一杯に稽古を続けて参りました。帯の色が変わるごとに心が強くなるのを自分自身でも感じながら2005年に初段、2009年に弐段の帯を締めさせていただき、極真空手の普及発展に注力すると共に、後輩達の指導に全力で取組み、その後輩達の成長の手助けになることで喜びを感じております。

 昨年の公認審査会直後に海野師範より来年は参段に挑戦するようお話をいただきましたが、まさか自分が参段の昇段審査を受けさせていただくまでになれるとは思ってもいませんでした。弐段の昇段審査を受けてからしばらく間が空いていたこともあり不安を感じ、また私が大石道場の先生と呼ばれる事が許される人間なのかと葛藤がありましたが、「押忍!」と返事をさせていただきました。その瞬間『良しやるぞ』と気持ちを切換え今回の審査会に向け初心に返り 1年間稽古に取組んで参りました。 自宅では会社から帰宅してからの筋トレを欠かさず、拳立て、腹筋、スクワット、50回5セットをベースに下半身強化とコンビネーション、稽古でのスパーリング、サンドバッグにより体力、筋力をアップさせる事ができました。型では正確さを欠き海野師範にご指摘いただいた箇所を繰り返し修正に努め当日の公認審査会に挑みました。

 2023年3月5日公認審査会、当日は張り詰めた空気の中、範士の指導で審査会が始まりました。今回は春季審査会と同時におこなわれ、公認審査会受審者紹介の後、基本稽古、帯ごとに型、補強と続きました。極度に緊張している自分を感じながらも持っている力を全て出し切ろうと必死でした。その後の三十人組手は覚悟して挑みましたがやはり厳しさの連続でした。弱い自分に負けてはいけない、後輩達の前で情けない姿を見せる訳にはいかないと心に誓って立ち向かい、緊張からか力が入り過ぎて思うように技が出せない状態でしたが、先生方から声を掛けていただき徐々に力も抜け、道場生達からたくさんの声援、保護者からの応援が支えとなり、また海野師範の存在に背中を押され最後まで前を向き完遂することができました。対戦いただいた師範、先生、先輩方に力を引き出していただき、自身の持っている力は全て出し切れたと思います。

 審査会も終わり、その夜はゆっくり眠れると思い床につきましたが、昼間の興奮がまだ冷めず、 思い返せば、あの時あーすれば良かったな、もっとこうできたのではないかなと反省ばかりが頭に浮かび眠れぬまま朝を迎えてしまいました。まだまだ私自身課題があり不充分なところが多々ありますので、今後稽古を重ねて身につけて参ります。

 今までは先輩でしたがこれからは先生と呼ばれます。極真空手の普及発展に努め、後輩達の成長の為に今まで以上に責任を持って指導して参ります。 公認審査会に向け特別なご指導いただきました海野師範、ご一緒に稽古していただきアドバイスもしてくださった先生方先輩方、応援いただきました道場生、門下生、保護者の皆様ありがとうございました。 帯の重さを日々実感していますが、大石道場の参段として帯に恥じないよう日々精進して参ります。

 範士、師範、先生、先輩方、今後共ご指導の程宜しくお願い致します。                                                     

 押忍                       

 2023年3月12日                     

 美和道場 山本 英寿