橋本 岳雄 参段(静岡南道場)
〜2015年03月01日取得〜


 この度は、昇段審査を受審させて頂き誠に有り難うございました。この場をお借りして、大石範士、柴田師範、諸師範・先生方、大石道場生の皆様に心から感謝申し上げます。また30人組手の相手をして頂きました皆様、ご協力誠にありがとうございました。

 極真空手は17年前、高校生の時、友人に誘われたのがきっかけで始めました。極真空手を始めるまで、私の空手に対する印象は正直あまり良いものでありませんでした。というのも、幼少期、全空連系の空手を習っている同級生と仲が良くなかったり、当時熱中していたプロレスにおいて空手出身の選手が悪役を演じていたりしていた為です。
 結局、前述の友人の説得に負け、入門することとなりましたが、特に大きな心境の変化があったわけではなく、受験勉強だけでは体がなまってしまうので、「運動不足が解消できればいいや。」といった思いからでした。

 さて、昔の雑誌等に掲載されている昇段レポートだと、この辺りで劇的な心境の変化があるのですが、残念ながら私の場合はしばらくこのような状況が続いていました。大学時代(当時緑帯〜茶帯)、一時所属していた他支部の合宿について、「なんとなく面倒くさそうだから」と思い参加せず、今でも柴田師範から「他の支部の道場を知るチャンスを逃した。」と指摘を受けます。
 では、なぜそんな私が空手を続けることができたのか、それは高校まで続けた野球をやめた負い目があり、次に始めた空手だけはやめたくないと思っていたからです。今思えば大した負荷ではありませんが、黒帯を頂く頃、柴田師範に稽古メニューを組んでもらうと私の体力ギリギリ辺りの稽古を課せられました。正直、当時はその負荷に対し、大変と感じたこともありましたが、「辞めたら自分の人生には逃げた経験しか残らなくなる。そんな恥ずかしい人生だけは送りたくない。」といった意地がありました。

 意地で続けていたような空手ですが、黒帯を取得し、大会で結果を出せるようになると心境も変わってきました。 例えば、後輩と一緒に練習して、その後輩が大会で結果を出せるようになると指導者の気持ちも多少わかってきました。また、県外の大会や合宿に参加させていただくと、自分より(空手の腕だけでなく人間的にも)大きい器の選手と知り合いになり精神的な刺激も受けました。世界大会に出場した際、友達になった海外の友人とは現在も交友があり、世界を身近に感じられるようになりました。

 日頃は偉そうなことを申し上げていますが、私も空手経験が浅い時は正直、気持ちは前向きではありませんでした。ですが、今となっては続けてよかったと断言できます。日頃、柴田師範は黒帯取得を富士山に例えて、「登っている最中は頂上が遠く見えたり、登山がきつく感じたりするけど、登った人には綺麗な景色が待っている。でもその景色は登った人にしかわからない。だから黒帯を取得するまでは辞めてはいけない。」とおっしゃっています。私も身をもって体験し、そのうえで、柴田師範がおっしゃることに嘘偽りはないと断言します。ですから、本レポートを読んでくださった方も絶対に空手を続けてほしいと切望します。

 最後になりますが、先ほどの富士登山に例えると、大山総裁は素晴らしい山を我々に残してくれました。誰もがあきらめなければ最後まで登れるように道は整っているし、登り切ったあとの景色は絶景ですし、また、老若男女誰でも登れるよう間口も広くなっています。このような素晴らしい極真空手を我々に残してくれた大山総裁の偉大さを実感するとともに感謝をいたします。 大山倍達総裁が世界に広め、範士、諸師範方が伝承した、極真空手・極真精神を我々の世代が受け継げるよう今後も精進してまいりたいと存じます。

押忍