後藤 七未江 弐段(忍野道場)
〜2017年03月05日取得〜


 この度は、公認審査を受審する機会を頂きまして有難うございました。 初段を頂いた四年前、大石範士より『黒帯になることよりも、黒帯であり続けることのほうが難しい。だから初心を忘れずにいなさい』との御言葉を掛けて頂きました。
 初めて白帯を締めた時のまっさらな気持ち、黒帯を締めて新たなスタートラインに立った時の思い。 私はこの四年間、黒帯として指導員として、そして一道場生として、この言葉を胸に空手の稽古に励んできました。
 私は黒帯になってからも試合に出ることに拘ってきました。それは後輩たちと共に成長していきたいという気持ちと、それだけではなく『黒帯になってから変わってしまったね』と言われることも思われることも嫌だったからです。 でも、試合経験は増えても型も組手もなかなか勝ち上がることは出来ませんでした。
 それでも、ここ数年は型の試合では入賞出来るようになり、昨年は世界大会に選手として出場させて頂く機会にも恵まれました。 私の型が上達出来たのは後輩たちのお陰だと思っています。教えることで教わったのです。客観的に見ることで見えてくるものが沢山ありました。また、アドバイスを下さった先生や先輩、いつも一緒に練習してくれた後輩の存在もとても大きかったです。
 そんな私に公認審査を受けるきっかけを与えて下さったのは、入門当初からご指導頂いている荒井先生です。昨年、公認審査を受けられた時に『俺はこの歳になって、もっと早く受けておけば良かったと後悔している。だから、後藤さんも上を目指したほうがいいよ』と話をしてくれ、その後も何度も私の背中を押そうとしてくれました。
 それから一年間、その言葉はずっと頭の片隅にはあったものの、弐段に挑戦するべきかずっと迷っていました。結局、締め切りのギリギリまで悩み、決心したのは一月の末。公認審査まではあと一ヶ月しかありませんでした。
 20人組手という試練を乗り切れるのかという不安はあったものの、不思議と焦りはなく、これまでやってきたことを全部出し切ろうと心に決めました。 公認審査を数日に控えたある日、受験勉強で道場を離れていた後輩が練習に付き合ってくれました。卒業式前日にも関わらず、補強5セットと20ラウンドの組手。 『ボコボコにしてくれて構いません』だなんて、その気持ちがとても嬉しくて私のパワーになりました。 私はいつだって誰かに支えられてここにいるのだと改めて気付かされました。
 これまでは黒帯として後輩の成長を第一に、でも自分自信が挑戦することも大切にしてきました。でも今、振り返ってみるとなんだか少し背伸びをしていたような気もします。これからは弐段として、空手を通して学んだこと、様々な経験から感じた空手への思いを後輩たちにしっかり繋げていけたらと思っています。
 最後にこのような機会を与えて下さった大石範士を始め、沢山の人達への感謝の気持ちを忘れずに、これからも精進していきたいと思います。 有り難うございました。

  押忍