新井 泰 初段(御殿場道場)
〜2014年03月02日取得〜


 「昇段審査を終えて」  御殿場道場 新井 泰(初段)

 この度は、昇段審査を受ける機会を頂き、ありがとうございました。
 田原師範はじめ、道場の仲間に協力していただき、また、道場生・ご父兄の皆様のご声援を頂き、十人組手を完遂し、初段を頂く事が出来ました。心より感謝いたします。

 二十六年前、二十九才の時に沼津本部道場に入門させて頂きました。当時は、大石範士の指導の下で稽古させて頂きました。
 稽古の後、道場生全員に対して、話しをして頂いた事を思い出します。『先生はねー』の一言の後に、様々な体験・経験談を話して頂きました。最後は、『継続は力なり』『努力は無限』『自分の事は二番に、相手を一番に考える』『諦めない心』に繋がる内容でした。空手の世界だけでなく、人生において貴重な話、考え方を学ばせて頂きました。ありがとうございました。

 その後、御殿場道場が田原師範の下、オープンし、自宅が御殿場という事もあり、御殿場道場でお世話になる事になりました。市の体育館、保育園の体育館、自衛隊の体育館、時には公園で稽古した事を、懐かしく思います。
 『道場とは、建物ではなく、想いのある人が集まって稽古をすれば、屋外でもそこが道場になるのです』と言う、田原師範の言葉が凄く印象的で、今でも心に残っています。

 稽古にも積極的に通い、順調に級を上げていき、茶帯を頂く事が出来ました。しかし、仕事やその他で忙しく、稽古をろくにしない時期が長くなりました。たまに道場に顔を出し、たまに稽古に参加させて頂き、ただ、極真会館に所属しているだけという状況が続きました。

 仕事が忙しい事に言い訳をし、町の行事やおつきあいの忙しさに言い訳をし、気付けば五十四才、ただ所属しているだけの茶帯に価値は無く、前に進むべきか、いっそうの事やめてしまうかと、頭をよぎりましたが、色々な事を教わった極真会館をやめるという選択肢は無く、迷わず前に進むと決心し、田原師範に想いを告げたのが、二十六年四月の事でした。

 そこから、毎日の自主練、道場の仲間にも組手の相手や型の稽古に協力して頂き、道場生やご父兄の皆様からも、『頑張ってください』と声をかけて頂きました。田原師範には、週に一度、道場稽古とは別に稽古をして頂きました。常々田原師範からは、昇段審査当日の十人組手も価値はありますが、それまでの過程にこそ本当の価値があると仰ってました。終わってみて、その意味がより深く理解出来ました。

 当日を迎えるまで、道場の仲間の協力、当日十人組手を本気で相手して下さった先輩方、周りで声援を送ってくれた道場生・ご父兄の皆様、多くの方々に支えられて頂いた、初段の重さを痛感しております。

 仕事においても、私生活においても、空手においても、全ての事に対して中途半端に先送りしてしまう自分自身から脱却する為に取り組んだ昇段審査です。絶対に言い訳の出来ない、誰の責任にも出来ない今回の挑戦が、今後の我が人生の転換期になりました。今迄先送りにしてきた全ての物事を、しっかり受け止めて行こうと決意を新たにしました。初段になり、スタートラインに立った今、今まで以上に精進したいと思います。

 最後に、今回の昇段審査の機会を与えて頂いた大石範士、長い間何も言わずにこの時を待って頂いた田原師範に、心から感謝と御礼を申し上げます。ありがとうございました。

                                             押忍