北九州道場 最高師範稽古指導報告

清水 成洋(北九州道場指導員)



2011年5月29日(日) 北九州市小倉南区 湯川中学校武道場

 先週は、ずっとある事柄を気にしていた。台風2号の進路である。 進路如何では、北九州にも影響が出てくる。そのために、今回の稽古指導が流れてしまうのでは、という不安だった。 その不安が解消されたのは、前日だった。せいぜい強風域が被るくらいのようだ。ようやくほっとした。
 迎えた当日、天気は生憎の雨。しかし、その雨が功を奏した事もあった。当日、小学校は運動会。 しかし、その運動会が中止となった為、本来なら参加出来なかった生徒が参加できるようになったからである。 12時に会場に到着。既に生徒はほぼ全員来ていた。それから会場設営を行った。 生徒は皆、緊張している様子。ほぼ全員が最高師範とは初対面だから、無理もない。 昨年の秋、加古川道場の審査会に2人(吉村、兵頭)を連れて行った時も、行きの新幹線の中では相当緊張していたのを思い出した。
 糟屋の兵頭君と北九州道場生、熊本から参加の福留氏親子と北九州道場生との顔合わせをしたりしながら、最高師範の到着を整列して待つ。 私は外に出て、到着されるのを見張っていた。そして、15分前、北九州の白濱責任者の車が到着。最高師範と熊本の前畑責任者が到着された。
 そして、最高師範が道着に着替えられて、いよいよ稽古指導の開始である。 まずは、正座の仕方にチェックが入る。漠然と座っている為、実戦を意識して(膝を付いた状態で、構えられるように)座る、立つという事を指導された。 準備運動でも、この運動にはこういう意味があるという事を再認識できたのが何箇所かあった。そして、時には実演を交えての指導もあった。 手首を回す運動と、三戦立ちの手の動作だったが、これらは通常教えていなかった事だった。
 「用意」の際の足の動きにもチェックが入る。やはり、漠然と行っている(そのために、爪先を開くスピードが速い)点と、目線、腰が上下移動している 点が指摘され、上下移動せず、爪先の力を使う事が指導された。 息吹の仕方では、「口はアとカの中間」「内臓を鍛える」「声を誰かに聞かせるものではない」といった点が指導された。基本稽古の中でも細部で指導があり、 締めは組手立ちからの蹴りの移動稽古。その中でも「跳び前蹴り」「跳び廻し蹴り」は、普段なかなかやらないため、私も苦戦した。
 5分間の休憩の後、移動稽古に。ここで再三指導されたのが、「横を見ない」事。 「顔に出さない」「横を見ない」とはよく言われる事だが、やはりまだ浸透していない様子。 ここでの応用は、「回転の移動稽古」「三戦立ち逆突きからの手の変化」。最高師範の説明と模範があり、それから実践するのだが、 集中力が切れているのか、出来ない生徒もいる。そんな彼等には最高師範の「喝」が飛ぶ。

 続いて型に入る。白帯は太極その三まで、オレンジ帯は平安その一まで、茶帯の白濱責任者が平安その五まで行った。 移動稽古から顕在化してきたのが、指導員の癖がそのまま生徒に伝播しているという点で、特に手刀受けでそれが顕著になっている事を指摘された。
 ここで再び5分間の休憩の後、組手に入る。最初は、全員向かい合って行い、後に最高師範が二人を選んで行うという形だった。 ここでは、むやみに声援を送らない事、約束組手をしっかり行うという2点が指摘された。 特に、約束組手(上段蹴りの受け返し)はやや疎かになっているところであり、今後の課題といえる。
 最後に、補強を行った。X字腹筋10回、拳立て、フルスクワット各20回、3セットだったが、見ていると、道場ではやっても家ではどうなのか、と いった状態だった。全ての筋力が弱い為、受けも攻撃も弱くなると指摘され、腹筋と腹打ちの仕方を指導された。
 こうして、3時間の長くて短い指導は終わり、最後は写真撮影と、最高師範のお話があった。その中で、地震に関して、静岡では危機意識が強くなっているという ところは興味深かった。
 稽古指導を受けてまず思ったのが、指導者はまずもっと勉強しなければならない、変な癖を付けないというところである。特に、癖というのが知らぬ間に 伝播していくという点は今回特に痛感したところである。もう一つは、最高師範を拝見していて、私自身があと20年後、同じように動けるのか、 いや、 動けるようにしなければという点である。そのためにも、もっと自分自身に磨きをかけなくては、と思った次第である。
 さて、次の行事は、夏祭りでの演武である。普段の稽古のみならず、こうした行事でも皆に成長してもらいたいと思う(勿論、自分自身も含めて)。

押忍